○金沢大学における人を対象とする生命科学?医学系研究に関する規程
(令和3年6月28日規程第3637号) |
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(趣旨)
第1条 この規程は,金沢大学(以下「本学」という。)における人を対象とする生命科学?医学系研究(以下「研究」という。)の実施について,必要な事項を定める。
(基本原則)
第2条 本学における研究は,ヘルシンキ宣言,人を対象とする生命科学?医学系研究に関する倫理指針(文部科学省?厚生労働省?経済産業省告示。以下「指針」という。)をはじめとする関係の法令,ガイドライン等に定めるもののほか,この規程に定めるところによるものとし,その趣旨を踏まえて行うものとする。
(定義)
第3条 この規程における用語の定義は,指針において定めるところによる。
(適用範囲)
第4条 この規程は,本学における研究(死者に係る情報を取り扱う研究を含む。)に適用する。ただし,他の指針の適用範囲に含まれる研究にあって,当該指針に規定されていない事項については,指針及び本規程の定めるところによる。
(学長の責務)
第5条 学長は,研究を適正に実施するために必要な全学の体制?規程等(試料?情報の取扱いに関する事項を含む。)を整備するとともに,本学における研究が適正に実施されるよう,必要な監督を行うことについて責任を負うものとする。
(部局長への委任等)
第6条 学長は,研究の円滑かつ機動的な実施のため,指針第5の2(7)の規定に基づき,指針に定める「研究機関の長」の権限及び事務を,部局長(金沢大学学則第22条第1項に定める部局長をいう。ただし,臨床試験審査委員会において審査を行う研究に関しては,附属病院長とする。以下同じ。)に委任するものとする。ただし,学長自らその権限及び事務を行うことを妨げない。
2 部局長は,前項の規定により委任された職務を行ったときは,当該業務の実施状況を適宜学長に報告しなければならない。
3 附属病院長は,附属病院以外の部局に所属する研究責任者が行う研究について,第13条又は第14条の報告を受けたときは,速やかにその内容について研究責任者が所属する部局の長に通知しなければならない。
(部局長の責務)
第7条 前条第1項により委任を受けた部局長は,次の各号,第10条,第14条,第15条,第17条,第18条及び第22条に掲げる業務を行うものとする。
(1) 部局長は,実施を許可した研究について,適正に実施されるよう必要な監督を行うものとする。
(2) 部局長は,当該研究が指針及び研究計画書に従い,適正に実施されていることを必要に応じて確認するとともに,研究の適正な実施を確保するために必要な措置をとらなければならない。
(3) 部局長は,研究の実施に携わる関係者に,研究対象者の生命,健康及び人権を尊重して研究を実施することを周知徹底しなければならない。
(4) 部局長は,当該部局における研究を適正に実施するために必要な体制?規程等を整備しなければならない。
(5) 部局長は,当該部局において実施する研究に関連して研究対象者に健康被害が生じた場合,これに対する補償その他の必要な措置が適切に講じられることを確保しなければならない。
(6) 部局長は,研究対象者等(研究対象者又はその代諾者等をいう。以下同じ。)及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のために必要な措置を講じた上で,研究結果等,研究に関する情報が適切に公表されることを確保しなければならない。
(7) 部局長は,当該部局における研究が指針及び本規程に適合していることについて,必要に応じ,自ら点検及び評価を行い,その結果に基づき適切な対応をとらなければならない。
(8) 部局長は,倫理審査委員会が行う調査に協力しなければならない。
(9) 部局長は,研究に関する倫理並びに研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育?研修を当該部局に所属する研究者等が受けることを確保するための措置を講じなければならない。また,自らもこれらの教育?研修を受けなければならない。
(研究計画書の作成?変更)
第8条 研究責任者は,研究を実施しようとするときは,あらかじめ研究計画書を作成しなければならない。また,研究計画書の内容と異なる研究を実施しようとするときは,あらかじめ研究計画書を変更しなければならない。
(倫理審査委員会への付議)
第9条 研究責任者は,研究の実施の適否について,第21条第1項に定める倫理審査委員会又は他の研究機関等が設置する倫理審査委員会(以下「審査した倫理審査委員会」という。)の意見を聴かなければならない。
[第21条第1項]
2 研究責任者は,審査した倫理審査委員会の意見を聴いた後に,その結果及び当該倫理審査委員会に提出した書類,その他部局長が求める書類を部局長に提出し,当該部局における当該研究の実施について,許可を受けなければならない。
(研究の許可等)
第10条 部局長は,研究責任者から研究の実施又は研究計画書の変更の許可を求められたときは,審査した倫理審査委員会の意見を尊重しつつ,当該許可又は不許可その他研究に関し必要な措置について決定しなければならない。この場合において,部局長は,審査した倫理審査委員会が研究の実施について不適当である旨の意見を述べたときには,当該研究の実施を許可してはならない。
2 部局長は,第13条,第14条及び公益通報等により,研究の継続に影響を与えると考えられる事実を知り,又は情報を得た場合には,必要に応じて速やかに研究の停止,原因の究明等,適切な対応をとらなければならない。
3 部局長は,第13条及び第14条により,研究の実施の適正性若しくは研究結果の信頼を損なう,若しくはそのおそれのある事実を知り,又は情報を得た場合には,速やかに学長に報告しなければならない。
4 学長は,前項の報告を受けた場合には,金沢大学研究活動不正行為等防止規程(以下「不正行為等防止規程」という。)の定めるところにより,調査,告発者等の保護等を行い,必要に応じて,研究の中止等の措置を行う等,速やかに必要な措置を講じなければならない。
(研究の概要の登録)
第11条 研究責任者は,介入を行う研究について,厚生労働省が整備するデ-タベ-ス(Japan Registry of Clinical Trials:jRCT)等の公開データベースに,当該研究の概要をその実施に先立って登録し,研究計画書の変更及び研究の進捗に応じて適宜更新しなければならない。また,それ以外の研究についても当該研究の概要をその研究の実施に先立って登録し,研究計画書の変更及び研究の進捗に応じて更新するよう努めなければならない。
2 前項の登録において,研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のため非公開とすることが必要な内容であり,審査した倫理審査委員会の意見を受け部局長が許可したものについては,この限りでない。
(研究終了後の対応)
第12条 研究責任者は,研究を終了(中止の場合を含む。以下同じ。)したときは,その旨及び研究結果の概要を文書又は電磁的方法により遅滞なく審査した倫理審査委員会及び部局長に報告しなければならない。
2 研究責任者は,研究を終了したときは,遅延なく研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のために必要な措置を講じた上で,当該研究の結果を公表しなければならない。侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって,かつ,介入を行うものについて,結果の最終の公表を行ったときは,遅延なく部局長へ報告しなければならない。
3 研究責任者は,介入を行う研究を終了したときは,前条第1項で当該研究の概要を登録した公開データベースに遅滞なく,当該研究の結果を登録しなければならない。また,それ以外の研究についても当該研究の結果の登録に努めなければならない。
(研究の倫理的妥当性及び科学的合理性の確保等)
第13条 研究者等は,研究の倫理的妥当性若しくは科学的合理性を損なう,又はそのおそれがある事実を知り,又は情報を得た場合(次項に該当する場合を除く。)には,速やかに研究責任者に報告しなければならない。
2 研究者等は,研究の実施の適正性又は研究結果の信頼を損なう,又はそのおそれがある事実を知り,又は情報を得た場合には,速やかに研究責任者又は部局長に報告しなければならない。
3 研究者等は,研究に関連する情報の漏えい等,研究対象者等の人権を尊重する観点又は研究の実施上の観点から重大な懸念が生じた場合には,速やかに部局長及び研究責任者に報告しなければならない。
(研究の進捗状況の管理?監督及び有害事象等の把握?報告)
第14条 研究責任者は,前条第1項による報告を受けた場合であって,研究の継続に影響を与えるおそれがある場合(次項に該当する場合を除く。)には,遅滞なく,部局長に報告し,必要に応じて,研究を停止し,若しくは中止し,又は研究計画書を変更しなければならない。
2 研究責任者は,前条第2項又は第3項による報告を受けた場合には,速やかに部局長に報告し,必要に応じて,研究を停止し,若しくは中止し,又は研究計画書を変更しなければならない。
3 研究責任者は,研究計画書に定めるところにより,研究の進捗状況及び研究の実施に伴う有害事象の発生状況を審査した倫理審査委員会及び部局長に報告しなければならない。
4 部局長は,前条第2項若しくは第3項又は第2項若しくは第3項の規定による報告を受けた場合には,必要に応じて,審査した倫理審査委員会の意見を聴き,速やかに研究の中止,原因究明等の適切な対応をとらなければならない。この場合,審査した倫理審査委員会が意見を述べる前においては,必要に応じ,研究責任者に対し,研究の停止又は暫定的な措置を講じるよう指示しなければならない。
(大臣への報告等)
第15条 部局長は,第13条第2項若しくは第3項又は前条第2項若しくは第3項の規定による報告その他の方法により,当該部局において実施している,又は過去に実施した研究について,本規程又は指針に適合していないことを知った場合には,速やかに審査した倫理審査委員会の意見を聴き,必要な対応を行わなければならない。
2 学長は,前項の不適合の程度が重大であるときは,その対応の状況?結果を厚生労働大臣及び文部科学大臣(以下「大臣」という。)に報告し,公表しなければならない。
3 部局長は,当該部局における研究が指針に適合していることについて,大臣又はその委託を受けた者が実施する調査に協力しなければならない。
(研究の試料及び情報等の保管)
第16条 研究責任者は,研究に用いられる情報及び当該情報に係る資料(研究に用いられる試料?情報の提供に関する記録を含む。)について,少なくとも不正行為等防止規程第8条に定める期間保存しなければならない。また,仮名加工情報及び削除情報等並びに匿名加工情報及び加工方法等情報の保存についても同様とする。ただし,試料?情報の提供に関する記録については,試料?情報の提供をする場合は提供を行った日から3年を経過した日までの期間,試料?情報の提供を受ける場合は,提供を受け実施された研究の終了について,第12条に基づき,部局長に報告した日から5年を経過した日までの期間,保存しなければならない。
[不正行為等防止規程第8条] [第12条]
(モニタリング及び監査)
第17条 研究責任者は,研究の信頼性の確保に努め,侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって,介入を行うものを実施する場合には,研究計画書に定めるところによりモニタリング及び必要に応じて監査を実施しなければならない。
2 モニタリングに従事する者は,当該モニタリングの結果を研究責任者に報告しなければならない。また,監査に従事する者は,当該監査の結果を研究責任者及び部局長に報告しなければならない。
3 部局長は,第1項の規定によるモニタリング及び監査の実施に協力するとともに,当該実施に必要な措置を講じなければならない。
(重篤な有害事象への対応)
第18条 部局長は,侵襲を伴う研究について,あらかじめ,重篤な有害事象が発生した際に研究者等が実施すべき事項に関する手順書を作成し,当該手順書に従って適正かつ円滑に対応が行われるよう必要な措置を講じなければならない。
2 研究責任者は,侵襲を伴う研究の実施において重篤な有害事象の発生を知った場合には,速やかに,当該有害事象や研究の継続等について審査した倫理審査委員会に意見を聴いた上で,その旨を部局長に報告するとともに,前項の規定による手順書に従い,適切な対応を図らなければならない。また,速やかに当該研究の実施に携わる研究者等に対して,当該有害事象の発生に係る情報を共有しなければならない。
3 侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものの実施において予測できない重篤な有害事象が本学で発生し,当該研究との直接の因果関係が否定できない場合には,研究責任者は,部局長及び学長に報告した上で,速やかに前項の規定による対応の状況及び結果を大臣(厚生労働大臣に限る。)に報告し,公表しなければならない。
(研究計画書等の遵守)
第19条 研究者等は,法令,指針等を遵守し,審査した倫理審査委員会の審査及び部局長の許可を受けた研究計画書に従って,適正に研究を実施しなければならない。
(守秘義務)
第20条 学長,部局長及び研究者等を含む研究にかかわる本学の役職員は,その業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その業務に従事しなくなった後も,同様とする。
(倫理審査委員会の設置)
第21条 本学における研究の倫理審査を行うため,医薬保健研究域に医学倫理審査委員会及び医薬保健研究域等におけるヒトゲノム?遺伝子解析研究倫理審査委員会を,附属病院に臨床試験審査委員会をそれぞれ設置する。
2 部局長は,前項に定める倫理審査委員会の設置及び運営に関し,医薬保健研究域長及び附属病院長(以下「委員会設置部局長」という。)に協力しなければならない。
3 第1項に定める倫理審査委員会の運営に関し必要な事項は,委員会設置部局長が別に定める。
(個人情報等,試料及び死者の試料?情報に係る基本的責務)
第22条 研究者等及び部局長は,個人情報の不適正な取得及び利用の禁止,正確性の確保等,安全管理措置,漏えい等の報告,開示等請求への対応を含め,個人情報等の取扱いに関して,指針の規定のほか,個人情報保護法に規定する個人情報取扱事業者に適用される規律,国立大学法人金沢大学個人情報管理規程,国立大学法人金沢大学個人情報開示請求等取扱規程等を遵守しなければならない。
2 研究者等及び部局長は,試料の取扱いに関して,指針の規定を遵守するほか,個人情報保護法等の規定に準じて,必要かつ適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 研究者等及び部局長は,死者の尊厳及び遺族等の感情に鑑み,死者について特定の個人を識別することができる試料?情報に関しても,生存する個人に関する情報と同様に,指針の規定のほか,個人情報保護法等の規定に準じて適切に取り扱い,必要かつ適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
第23条 削除
(その他)
第24条 この規程及び指針に定めるもののほか,研究の実施に関し必要な事項は,別に定める。
附 則
1 この規程は,令和3年6月30日から施行する。
2 金沢大学における人を対象とする医学系研究に関する規程は,廃止する。
附 則
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この規程は,令和4年9月2日から施行する。